JA共済(農協)が運営する自動車保険は、正式名称を『自動車共済 クルマスター』といいます。
自動車保険を選ぶ際、選択肢のひとつにしている人もいるでしょう。
JA共済(農協)が取り扱う自動車保険は、他の保険会社のものと大きく違う点がいくつかあり、それに伴ってメリットやデメリットが存在します。
自動車保険を選ぶときは、特徴などをよく理解してからでないといざというときに後悔することになります。
今回は、JA共済(農協)の『自動車共済 クルマスター』について詳しくご紹介します。
目次[表示]
JA共済(農協)自動車保険の特徴
営利目的ではない
JA共済(農協)は、農協法に基づく共済で“相互扶助”を事業理念としており、
「みんなでお金を出し合って目的のために使う」
といった組織体制をとっています。
自動車保険も、加入者が出資金を出し合って加入者がいざというときに助け合うことになります。
他の自動車保険と違って利益を上げる必要がないので、その特徴が掛金(保険料)の安さに直結しています。
加入条件がある(契約者かその家族がJAの組合員)
JA共済(農協)は営利目的ではなく相互扶助で成り立っているので、加入するには出資金を出して組合員になる必要があります。
出資金は100円~数千円で地域などによって異なり、加入時に支払い、脱退時に返還されます。
規制される法律が違う
JA共済(農協)と他社の自動車保険の大きな違いとして、規制される法律が異なる点があげられます。
他社の自動車保険は保険業法を根拠法としているのに対し、JA共済(農協)は保険法を根拠法としています。
基づいている法律が違うとどうなの?
自動車保険ではなく自動車“共済”
自動車“保険”という商品名は、保険業法を根拠法としなければ使えないことになっています。
そのため、JA共済(農協)が運営する自動車保険は正しくは自動車“共済”というものになっています。
保険料を掛金という言い方をするなど、ユーザーにとってはあまり影響がない細かい部分に違いがあります。
サービス内容
JA共済(農協)の自動車保険は、割引制度など、他の営利目的の自動車保険と違う独自のサービスを展開して差別化を図っています。
根拠法が違うからこそ、他の保険と違ったサービスを提供できているのです。
セーフティーネット(経営破綻時の保障)がない
保険業法に基づいた自動車保険は、経営破綻した際のセーフティーネットとして、「損害保険契約者保護機構」があり、万一の場合にも契約者を守れるように体制を整えています。
一方、JA共済(農協)は保険業法に基づいていないので、そういったセーフティーネットはありません。
支払原資の確保と安定した運用で、慎重に管理することで破綻しないようにするといった仕組みになっています。
破綻時、JA共済(農協)の自動車保険はリスクが高いといえるでしょう。
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JA共済(農協)の自動車保険と他社の自動車保険の保障内容比較
セゾン自動車火災 | 三井ダイレクト | JA共済(農協) | |
---|---|---|---|
対人賠償 | ◎基本保障 | ◎基本保障 | ◎基本保障 |
対物賠償 | ◎基本保障 | ◎基本保障 | ◎基本保障 |
人身傷害 | △選択 | △選択 | ◎基本保障 |
JA共済(農協)の保障内容は、人気ランキング上位の自動車保険と比べても特に大きな差はありません。
営利目的でないJA共済(農協)は、自動車保険も掛金(保険料)が安いというイメージを持っている人が多く、その分保障内容が悪いのでは?と考えられがちですが、保障内容は他の自動車保険に劣りません。
ロードサービスも提供しており、無料対応範囲も他の自動車保険と遜色ない保障となっています。
JA共済自動車保険のメリット
掛金(保険料)が割安
前述しましたが、JA共済(農協)は利益を追求する運用の仕方をしていません。
売り上げを上げる必要がないので、その分が掛金(保険料)の安さに繋がっており、それがJA共済(農協)自動車保険の最大のメリットといえるでしょう。
等級割引・特約
- 等級制度における金(保険料)最大割引率が63%
- 他の保険会社からの切り替えで等級が引き継げる
どの会社も自動車保険は等級制度をとっており、無事故を続けると1年ごとに等級があがっていきます。
最大割引率は60%のところが多いですが、JA共済(農協)の自動車保険は最大割引率を63%と設定しているのでお得です。
また、他の自動車保険とは基本的な仕組みなどが違うJA共済ですが、ほとんどの自動車保険から等級を引き継ぐ形で切り替えが可能となっています。
自動車保険の等級制度について詳しくはこちら
JA共済(農協)にしかない割引制度
- 自賠責保険とセットで対人賠償7%引き
- ゴールド免許割引で12.5%引き
- 自動継続特約で2%引き
JA共済(農協)は、自賠責保険とセットにすると対人賠償7%の割引があるなど、オリジナルの割引制度をとっています。
ゴールド免許割引は他の自動車保険でも見ますが、その割引率は圧倒的にJA共済のものがお得です。
自動継続特約の割引を合わせれば、掛金(保険料)を安く抑えることができます。
JA共済(農協)の自動車保険について詳しくはこちら
⇒公式サイト『自動車共済 クルマスター』
JA共済自動車保険のデメリット
窓口対応
- 受付窓口が閉まる時間が17時と早い
- 手続き処理が遅い
- 連絡先がたくさんあってわかりにくい
保障内容や割引制度など、他の自動車保険にも劣らない充実したサービスを提供しているJA共済(農協)の自動車保険ですが、窓口対応には他の自動車保険に軍配が上がっているようです。
受付窓口が17時までとなると、仕事をしているユーザーにとっては書類関係のやりとりがとてもやりづらいものとなるでしょう。
手続き処理が迅速ではないのも、余計な不安を抱えなければならない原因となります。
そして、JA共済(農協)は事故などの連絡先が、営業時間内は各地域の加入先JA共済(農協)へ、それ以外は24時間365日受付のフリーダイヤルへ、さらに、事故時の場合とロードサービス・故障時の場合は連絡先が違うなど、知っておかなければならない連絡先が多数あり、混乱しそうな窓口設置がされています。
事故の過失割合の交渉が弱い
JA共済(農協)の自動車保険は、実際に事故が起こった際、過失割合の交渉が比較的弱いと言われています。
過失割合を気にするユーザーにとっては、大きなデメリットになるでしょう。
参考:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1363108278
金融関係の営業が来る
JAは、貯金などの信用事業も展開しているので、JA共済(農協)に加入すると金融関係の営業が十中八九来ます。
興味がない人にとっては、面倒な対応をしなければならないことになります。
まとめ
JA共済(農協)の自動車保険は、営利目的で運営されていないので掛金(保険料)が安く、保障内容も他の自動車保険とあまり変わりません。
独自の割引制度を設定しているので、料金の面では魅力的です。
しかし、17時までの窓口や事故時の交渉力など、実際の対応についてはあまり評判がよくないようです。
それらを加味して、自動車保険を比較するといいでしょう。